この話は、ある女に呪いをかけられた男の、かわいそうな物語である。
食事中のかたや汚いものが嫌いなかたは、読まないことをお勧めする。
前回はこちら。
「はい、お疲れ様でした」
気がつくと手術が終わっていた。
手術台のまま移動して、元のベッドに転がって戻る。
この辺の記憶は曖昧だが、オムツをはいたあと、そのまましばらく眠ってしまったと思う。
しばらくして看護師さんに起こされる。
(余談だが、隣の人の選択肢は「ウーロン茶、緑茶、なんとか茶、水」であった)
尿意を感じたらトイレに連れてくので言ってくれとのこと。
もう十分休んだから早くおしっこをして帰らねばならないのだろう。
わずかな尿意を拡大解釈し、トイレに立つ。
尻が痺れている。
痛みはない。
うまく歩けず少しよろけた。
大きなカップを渡され、流さずに全部そこに出せと。
足りなければ何個も使えと。
コップ一杯しか飲んでないのにそんなに出るものか?
「まだ足がふらついてて危ないから座って(おしっこをして)いいですよ」
と言われたものの、 オムツを取るのが怖かったし、
座ったら尻の傷口が開いてしまうのでは?
と不安になり、立ったまま排尿をしてみる。
女性だったらこうは行かないだろう。
男で良かったと思った。
しかし、所詮は拡大解釈した尿意。
まるで出る気配がなかった。
力が入らないというか、どうやればおしっこが出るのか分からない。
申し訳ないがここは一旦退却だ。
看護師さんを呼び、状況を告げ、ベッドへ戻る。
早く帰らねば。
いつまでいるんだと思われてるかもしれないし、
実は16−17時でPS4の時間指定配達を依頼しているのだ。
時間が確認できないが、今は何時なのだろう。
再び尿意を拡大解釈してトイレに。
だがやはり出ない。
もういっぱい水をもらえば出るのかもしれない。
と思いながらベッドに戻ると、追加の水ではなく、追加の点滴がなされた。
そうか、点滴は尿になって出るということか!
3度目の挑戦でついに出た!
カップは3杯ほど出た。
「では先生に診てもらいます。」
よし、これで帰れるぞ。
「ん?」
尻が、チリチリするぞ?
まずい!怖い!
診察にきた先生に訴えかける。
「ちょっと痛くなってきた気がします…!」
「あー、そうだね」
尻の周りにブスブスと注射をさし、
肛門にズボッと何か(軟膏だった)を入れた!
ええ!?
そんなに大胆に刺していいの?
さっき切ったばかりですよね?
「はい、じゃ着替えたら説明するので待合室で待っててください」
着替えてスマホをみる。
おれが死んだと思って焦ったミナ。
先週のアイツ。
そういえば、どこの病院なのかも伝えてなかったな。
そして、時刻は午後4時20分であった。
15時には終わって、早く帰ってPS4で遊ぶつもりだったんだ。
ジロウはまだ知らなかった。
自分の尻が今、どのようになっているのかを。
続く。
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