この話は、ある女に呪いをかけられた男の、かわいそうな物語である。
食事中のかたや汚いものが嫌いなかたは、読まないことをお勧めする。
前回はこちら。
尻の手術を決めてきた桜田麩ジロウ。
ついに手術の日を迎えた。
朝飯は軽く食べて来なさいとのことだったので、おにぎりを食べてから病院へ。これから肛門を切るというのに、朝飯を食べていいとは意外であった。 病院につき、早速手術着に着替える。手術着の下は全裸になれ、だが靴下は履いててもいい、とのこと。
せめて足くらいは隠そうか、という謎の心理が働く。
足を隠して尻隠さず。
そして、たぶん人生初の浣腸。 「ぬるっとしますね」と言いながら看護師さんが尻に何かを入れる。
「今からトイレに移動して、3分我慢してから出してください」「お尻に力を入れて歩いてください」「立ったまま待たれる人が多いです。座ると出ちゃうので」「どうしても我慢できなければ途中で出しちゃっても大丈夫」
などの指示をされ、トイレに入ってストップウォッチを渡される。
1分、2分と進むにつれ、お腹がどんどんとギュルギュルしてくる。3分経過。
座るないなや、ブバババッと出る。
ベッドに戻ると点滴を入れられる。
順番が来るまでそのまま待機。先生は忙しいのだ。
病院は基本カーテンで仕切られているだけ。
オペ中の会話まで聞こえてくる。
隣の人が「たくさんオナラ出してください」とかいわれてたり。
患者はおじさんとおばさんばかりで、若い子の姿はなかった気がする。
おれはイビキがうるさいから寝てはいけない。
そう思いながら、自分のイビキで目が覚めることを繰り返し、
1時間くらい過ぎただろうか。
ついに時がきた。 手術台へと移動し、尻を出す。
驚くほどに恥ずかしさがない。
いつからおれはこうなってしまったのだろうか。若い頃なら絶対に恥ずかしさに負けていたはずだ。
先生や看護師さんにとっては、数ある尻のひとつで、
たぶん何の感情もないはずなのだ。 そして、先生がやってきた。
「ちょっと針がささりますよ」
麻酔である。
痛え…
ズンッッという重みが走る。
「押されてる感じがするでしょ?」
いや、そんな優しい感じじゃないけどなぁ…
麻酔は15分くらいで効くとのことで、そのまま放置される。
(尻にタオルくらいはかけてくれたが)
看護師さんたちが談笑しながら洗い物をしているのを聞いていた。
7分ほど経過しただろうか、看護師さんが後ろに立った。
「麻酔の効き具合を確認しますね」
肛門周りを上から下へと。
「全部痛いです!」
「大丈夫!まだ時間じゃないですから」
何故、今確認した…!
そして、間髪入れずに。
あ…
今まで何も言われなかったけど、ありますよね!
すみません!
剃毛後「お尻を広げますね」とのこと。
薄い鉄板のようなものでガッチリと尻を固定される。
自分からは見えないが、安いロボットの手のような感触の器具だった。
先生と麻酔の効き具合について話した看護師さんが
「点滴にリラックスできるものを入れますね」
といって何かを入れた。
先生は「…モルヒネ…」って言ったように聞こえたけど、さすがに聞き違いだろう。
だが、ここで、ジロウの意識は突然途切れる…!
コメント